虚血性心疾患
心筋の虚血(血流の不足)が原因となる疾患の総称で、狭心症、心筋梗塞、無症候性心筋虚血、心室瘤などがこれにあたります。前胸部の激しい痛み、違和感、息苦しさ、動悸など程度によって症状はさまざまです。薬物治療からカテーテル治療、手術と患者さんの状態に応じて適した治療もさまざまです。

虚血性心疾患の手術
冠動脈バイパス手術
狭心症や心筋梗塞の患者さんに、動脈硬化で細くなった冠状動脈に血管をつなぎ、血流を増やして胸の痛みを治し、心臓の働きを良くする手術です。当科ではほとんどの患者さんに対し、心臓が動いた状態で手術を行う心拍動下冠動脈バイパス手術(OPCAB)を行っています。
冠血管新生療法
カテーテル治療や冠動脈バイパス手術で十分な治療ができない狭心症患者さんに、血管新生因子(bFGFタンパク)を心筋内に注射して新しい血管を作り、血流を増やす新しい治療法です。熊本大学医学部附属病院先進医療審議委員会の承認を得て、平成14年に本邦で初めて臨床応用を開始し、これまで18例に実施し、良好な治療成績を得ています。
弁膜症
心臓の中で血液の逆流を防いでいる弁に起こる疾患の総称です。大動脈弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症・閉鎖不全症、僧帽弁逸脱症などがあります。古くはリウマチ熱に伴う弁膜症が主でしたが、最近は加齢や動脈硬化などに伴う弁膜症が増加傾向にあります。また、感染性心内膜炎に伴うものが増えています。症状は病気に犯された弁と狭窄か逆流かによってさまざまですが、多くは初期には無症状で、進行とともに心不全の症状(息切れ、むくみなど)が出てきます。重症例に対しては手術がもっとも確実な根治的治療であり、時期を逃がさずに手術をすることが重要です。

弁膜症の手術
心臓弁膜症手術
大動脈弁置換術、僧帽弁置換術や形成術、三尖弁形成術、連合弁膜症手術を行い、重症例でも良好な成績を挙げています。
大動脈疾患
大動脈瘤、大動脈解離が代表的です。部位別に胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤などに分類され、手術適応が異なります。動脈瘤は多くは無症状で、健診などで異常を指摘されるケースが多いことが特徴です。大動脈解離は激しい痛みを伴い、意識を失ったり、ショック死したりすることがあります。動脈瘤の破裂も同様の症状が見られます。治療法ではステントグラフトを用いた、血管内治療が注目されています。

大動脈疾患の手術
動脈瘤手術
胸部大動脈瘤、胸腹部大動脈瘤、腹部大動脈瘤に対する人工血管置換術を行っています。また、細い管(カテーテル)を用いて血管内に人工血管(ステントグラフト)を入れ、動脈瘤を内側から直す治療を行っています。胸部や腹部を切開しないため、痛みが少なく手術後の回復が早いのが特徴です。
末梢血管疾患
急性動脈閉塞、閉塞性動脈硬化症、下肢静脈瘤などが対象となります。エコノミークラス症候群で知られる深部静脈血栓症は、現在では外科的な治療が行われることは少なくなりました。

末梢血管疾患に対する手術
末梢血管疾患に対する手術
動脈閉塞症に対するバイパス手術、静脈疾患に対する治療を行っています。
ステントグラフト内挿術
ステントグラフトは、人工血管にステントといわれるバネ状の金属を取り付けたもので、これを圧縮して細いカテーテルの中に収納して使用します。ステントグラフトによる治療では手術による切開部を小さくすることができ、患者さんの身体にかかる負担は極めて少なくなります。
TAVI
経カテーテル的大動脈弁留置術のことで、重症の大動脈弁狭窄症に対する新しい治療法です。従来の手術とは異なり、開胸することなく、また心臓を止めることもなく、カテーテルを使って人工弁を患者さんの心臓に留置します。
その他
成人先天性心疾患、心臓腫瘍などのほか、不整脈、心不全なども手術の対象となります。